設立趣意書

 1945 年の敗戦以後、我が国は 60 年以上にわたり他国との間に平和な関係を維持してきました。この間に様々な社会基盤整備が進み、教育の充実と相まって、世界が驚くほどの経済発展を成し遂げ、同時に多様な文化が花開き、国民は豊かな生活を享受することができるようになりました。しかしながら、平和に慣れその尊さを見失い、積極的に平和を守る努力をしなければ、この豊かさは簡単に崩壊してしまう危険のあることも忘れてはならないことです。

 世界を見渡せば、戦争の渦中にある地域、極端な貧困と内戦の悪循環を繰り返す地域などが、まだまだ多く存在しています。これらに関心を持たず見過ごしていればいつか争いは拡大し、世界の平和が脅かされることに繋がります。

 このような事態に対して政府の政策に期待するばかりでなく、個人や民間組織による貢献こそ進めていかなければなりません。豊橋市市民文化会館の石碑にも刻み込まれているユネスコ憲章前文の一節にあるとおり、『戦争は人の心の中に生まれるものであるから 人の心の中に平和のとりでを築かなければならない』からです。人々の心の中から無知や偏見、差別意識の根を取り除き、生命の尊重を基調として、人間の自由・平等・相互の尊重といったヒューマニズムの種をまき、平和の礎としての寛容の精神を育てる必要があります。地域の人々の中に、世界を見渡す広い視野と、希望を持てない暮らしをしている人達を援助する豊かな気持ちを養うことは、必ずや当地域にも大きな恩恵をもたらすことになると確信するところです。

 民間のユネスコ活動は約 60 年前に仙台で始まり、現在では日本国内はもとより世界中に広がっています。豊橋市でも当初に豊橋ユネスコ協力会が設置されましたが、残念ながら現在に継承されていません。以上のことから、国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)の精神を東三河地域に広く普及し、教育、科学、文化の分野における国際的な協力と交流を進めるため、東三河地域の産学官民から幅広い参加の下に豊橋ユネスコ協会を設立するものであります。

2008年2月17日

豊橋ユネスコ協会